猫の下部尿路疾患について🐈⬛
こんにちは、ねこのクリニック浦和です。
今回は「下部尿路疾患」についてです。
猫下部尿路疾患(FLUTD)とは膀胱から尿道までの尿路の下部におこる病気や症状の総称です。この疾患には様々なものが含まれますが、その中でも膀胱炎や膀胱や尿道での尿石症はよく見られる疾患で、私たちが診療している中でも頻繁にお目にかかるものの1つです。
○尿石症や膀胱炎にかかると以下のような症状がよく見られます。
□1日の間にトイレに頻繁に行く
□トイレに行くがおしっこが出ていないorポタポタしか出ていない
□血尿が出る
□トイレ以外のところでおしっこをしてしまう
□おしっこをする時に痛がって鳴く
など
〜尿石症〜
*腎臓や尿管に結石が出来るものもありますが、今回は下部尿路である膀胱と尿道における尿石症について記載しています。
猫に多い尿結石(結晶)にはストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)とシュウ酸カルシウムがあります。
*結晶と結石の違い
結晶とは尿の中に含まれていているミネラルなどの物質から作られるキラキラとした小さな砂状のもので、顕微鏡で見ることが出来ます。結石とは結晶が徐々に大きくなり形成されたもので、結石まで大きくなると肉眼で確認出来ます。
膀胱や尿道の中に結晶や結石が生じると、膀胱や尿道の粘膜を傷つけ、炎症が起こったり、結石の場合は尿道に詰まり尿道閉塞を引き起こすことがあります。
尿道が完全に閉塞してしまうと、急性腎障害による尿毒症を引き起こし、最悪の場合、死んでしまうこともあるため、お家のねこちゃんのおしっこが出ていないかも💦と思ったら、様子を見ずにまずは動物病院を受診しましょう🏥
*尿道閉塞は特に男の子の猫がなりやすい傾向にあります。男の子は女の子より尿道が長くカーブしており、また尿道の先端も細いため、女の子よりも結石が詰まりやすくなります。
〜膀胱炎〜
猫の下部尿路疾患の中で尿石症と同じようによく遭遇するものに膀胱炎があります。膀胱炎を引き起こす原因は様々ですが、何かしらの原因により膀胱粘膜に炎症が起こる病気になります。
膀胱炎の原因としては膀胱結石や細菌感染、明確な原因が特定できない特発性膀胱炎などが挙げられます。その中でも猫は特発性膀胱炎を引き起こすことが多く、ストレスの多い環境にいる子や肥満傾向な子、水分摂取量の少ない子などが発症しやすいと言われています。
○下部尿路疾患における検査や治療
下部尿路疾患を疑った場合、触診や尿検査、レントゲン検査、エコー検査等を行い診断をします。尿石症の場合は析出している結石(結晶)により治療法は異なりますが、食事療法や場合により外科手術を行います。膀胱炎の場合は原因により変わりますが、内服薬の処方や生活環境の見直し等を行います。
○下部尿路疾患の予防法
予防法としては以下の様なものが挙げられます。
🐾飲水量を増やす
水飲み場の個数や設置場所、器の素材や大きさ、新鮮な水を用意する、水の温度を変えてみる等、色々工夫して、おうちのねこちゃんの飲水量を増やしましょう。
🐾トイレの環境を整える
トイレの個数や設置場所、トイレの大きさ、猫砂の種類や量など、おうちの猫ちゃんに合ったトイレ環境を整えましょう。
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🐾ストレスの少ない環境にする
狩猟本能を満たすような遊びを取り入れる、キャットタワーや爪研ぎなどを設置し、おうちのねこちゃんのストレスを上手に発散させてあげましょう。
🐾食事内容を気をつける
ミネラルやタンパク質の過剰な摂取は避ける、ウェットフードを取り入れることで摂取水分量を増やす、肥満にならないように気をつける。
*療法食を取り入れる場合は必ずその前に動物病院を受診し、その子の病状にあった療法食を獣医師に処方してもらいましょう。
上記に記載したような下部尿路疾患は再発することも多いため、おうちのねこちゃんのおしっこの色や量、回数等に違和感を感じたら早めに動物病院を受診しましょう。
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