猫ちゃんでよくみられる皮膚病
ねこちゃんでよく見られる皮膚の病気について解説します。
皮膚糸状菌症
真菌(カビ)の一種による感染症です。皮膚糸状菌は、生命力が強く感染すると乾燥した環境下に落ちた後でも毛の中で1年間生存するといわれています。特に免疫力が低下している子猫や老猫、長毛種の猫ちゃんに多く見られます。猫ちゃんが感染すると、耳や顔周りや足の部分で円形に毛が抜けます。
ねこちゃん同士でも感染しますが、皮膚糸状菌症に感染したねこちゃんから人にも感染する病気のため、さらに注意が必要です。人が感染すると皮膚に輪の形の赤い発疹がでます。感染したねこちゃんに触れた後はこまめに手洗いやお風呂に入ることをお勧めします。ねこちゃんが使っているブランケットやベッドにも真菌がいますので、これらも熱湯消毒や塩素系漂白剤による殺菌をしましょう。
治療法
真菌はカビなので生活環境をできるだけ湿気が少なくなるようにしましょう。また、同じ空間にいる他のねこちゃんやわんちゃんに感染しないように、治療期間中はできるだけ隔離しておくことをお勧めします。
1 外用薬をつける
局所の病変だけであれば、抗真菌用の軟膏やローションを患部に使用することがあります。
2 飲み薬を飲む
抗真菌用の内服薬を使用します。
3 抗真菌用のシャンプーをする
抗真菌用のシャンプーで全身を洗い流します。長毛種では毛刈りをすることもあります。
※シャンプー時の注意・・・シャンプーが残っていたり、ドライヤーをかけた後に生乾き状態であると症状が改善しませんし、他の皮膚病を発症する危険性もあります。
※皮膚糸状菌症にかかった場合は、治療期間は3か月程度はかかることが多いと想定しておきましょう。重症の場合は完治するまでさらに長くかかるケースもあります。治療期間が長くなると治療を受けるねこちゃんも大変ですが、日々のシャンプーやお薬を飲ませるご家族の心理的負担も大きくなるかと思います。根気強く頑張りましょう。
予防法
皮膚糸状菌に感染した他の猫と接触しないことが一番です。室内飼育することも予防につながります。
食事をしっかりと取り、よく遊び、ストレスのないねこちゃんらしい生活をさせてあげることで、免疫力を高めてあげましょう。
寄生虫による皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎が代表的です。
詳しくはノミ・マダニページで解説しているのでご覧ください。
食物アレルギー性皮膚炎
猫の食物アレルギーは食物と関連して皮膚症状、消化器症状、呼吸器症状などを示す病気です。
特に皮膚の症状では頭部に強い痒みがみられることが多く、ねこちゃんが自分でかいてしまうことにより脱毛や傷ができます。
他の寄生虫などの皮膚疾患を除外し、病歴・症状からアレルギーを疑った場合にアレルギーが起こりにくい専用のフードだけを8週間以上与えて、症状がよくなるかを観察する除去食試験という方法を用い診断します。
治療は、アレルギー用の療法食を使用することが一般的です。アレルギーの反応を抑えるステロイドか免疫抑制剤や抗ヒスタミン剤を使用することもあります。
心因性脱毛
引越しなど環境の変化や飼い主の方の留守などの不安、不満などを感じてグルーミング過剰になってしまった結果、毛が抜けたり、二次的に赤みや皮膚炎をおこしたりします。
病歴や環境を詳しくうかがうことから疑います。心因性脱毛であるという確定診断は難しく、他疾患の除外や治療反応等で見極めていくことが多いです。