FIPの症状
症状は多岐にわたり、典型的なものばかりではないので診断が簡単ではない病気のうちの一つ です。以下は、典型的な症状です。
FIPの検査・診断
残念ながらFIPと正確に診断できる単一の検査はありません。身体検査所見に加え、以下の検査などを必要に応じ実施し総合的に診断します。
※腸内や便以外からコロナウイルスが検出される場合はFIPである可能性が高いといえます。
FIPの治療
FIPは長年治療法がなく、発症したらほぼ100%亡くなってしまう病気でしたが、近年有効な抗ウイルス薬の報告が増え、治療可能な病気となっています。残念ながら中には反応をしない子、再発してしまう子もいますが、80~90%以上の子で長期生存が可能であったという報告があります。
当院で使用している薬剤
当院では以下のいずれかを用い、内服での外来通院治療を行っています。
(当院では入院の対応をしておりません。お薬の内服が難しいほど症状が重い子は、注射薬のFIP治療薬がある入院可能な動物病院での治療をおすすめします。)
- GS441524
- 当院では、イギリスおよびオーストラリアでFIP治療薬として承認を得ている GS441524の錠剤を使用しています。
- モルヌピラビル
- 人のコロナウイルスに対しての治療薬です。当院で体重に合わせてカプセルに調剤してお渡しすることになります。
(毒性等の関係でカプセルに入れたものは中身を出さないようにお願いしています。)
2024年現在、GS441524の方が動物への効果や副作用の情報が多く存在しています。
また、モルヌピラビルは人間のコロナウイルス治療薬のため、耐性ウイルスを作ってはいけないという観点から、当院ではGS製剤での治療を第一選択としてお勧めしておりますが、費用等の面からモルヌピラビルによる治療を選択する事も出来ます。海外から輸入しているお薬を使用していますので、タイミングによっては在庫がない場合もあります。
治療スケジュール
FIPの治療費用
体重3kgの猫の例
- GS製剤による治療
- 50万円程度
- モルヌピラビルによる治療
- 15~20万円程度
※上記費用は一例です。
※上記の費用は84日間の投薬期間中の検査費用、診察費用、治療薬などの費用を含んで算出しています。
※それぞれの猫ちゃんの症状や経過によって、必要な検査・通院頻度が異なります。